エラン(強化人士5号)のフレグランスは、一見人当たりのよさそうな明るい香りから、次第に不透明な怪しい甘みが広がります。天使のような笑顔を浮かべる、底が読めない5号らしい、どこか取っ付きにくさを覚える香りです。

トップノートは、グレープフルーツやレモンのキラキラとした香りが広がります。4号に替わって姿を現した彼の第一印象のように、甘酸っぱく親しみやすい香りです。一方で、カシスのシャープな酸味が、ただの美青年でないことを物語るように、冷ややかに漂います。

ミドルノートになると、マリンノートの涼やかな香りに、リリーの華やかさが重なります。屈託のない笑顔で近づいてきたかと思えば、甘い言葉でスレッタを惑わす。そんな魅惑的な雰囲気が伝わる、爽やかで軽やかな香りです。

ラストノートは、ミドルノートまでの甘みがムスクの柔らかさと混じり合い、不透明な印象になります。そこにダークなウッディノートが絡み合い、怪しい甘さに変化すると、掴みどころのない香りが辺りを覆いつくします。人懐っこい表情とは裏腹な彼の胸の内のように、淡々としたミステリアスな香りです。

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