鈴木入間の香りは、少年らしい可愛らしさと成長を感じられる香りです。

トップノートは、オレンジとピーチが甘く香り立ちます。ふんわりと可愛らしい印象の香りで、周りの悪魔達を魅了する入間の朗らかな笑顔を思わせます。また、甘さと一緒に柔らかいイメージも漂うため、サリバンから孫になって欲しいと頼まれ、断りきれず了承してしまうお人好しな雰囲気を感じられます。

ミドルノートになると、石鹸の優しくクリアな印象の香りへ変化していきます。遊んでもらうには何か見返りがなければならないと思っていたクララに対して、そんな物がなくても一緒に遊びたいと伝える真摯な姿や、金剪の谷の長のヒナを手当するために自らの手に傷をつけてまで気持ちを伝えようとする姿を想わせる香りで、入間の誠実さを感じられる香りです。

ラストノートにかけて、ホワイトムスクの温もりのある香りが、じんわりと広がっていきます。位階昇級試験で入学以来初めてアスモデウスと対決することになり、彼の本気の投球を今までのように避けたり逃げたりするのではなく、向き合った上で投げ返した姿など、彼の心の成長が感じられます。

穏やかな雰囲気をまとうその先に、飾り気のない芯の強さが見えてくる香りです。

©西修（秋田書店）／ＮＨＫ・ＮＥＰ