Fukumoto

福本|ジョーカー・ゲーム

トップノートは、ドライな空気が広がるユーカリの香りから始まります。
感情があまり表に現れない福本を思わせる香り立ちで、街を出歩く際も無表情で帽子を目深に被り、ポーカーをしている際にグラスを磨いているふりをしてサインを送るような、寡黙な性格を感じさせる香りです。

ミドルノートになると、サンダルウッドのスモーキーな香りが静かに立ち昇ります。
上海に潜伏する間、複数の顔を使い分けて立ち回っている彼を思わせるような、その場に馴じみ溶け込んでゆく雰囲気です。
帽子を片手にひらひらと手を振る胡散臭い新聞記者の姿や、本間軍曹に自分の姿を追わせることでカジノへ巧みに導く姿も感じられます。

ラストノートにかけて、湿り気を帯びたベチバーの香りが重なります。
アヘンだけではなく機密情報も横流しにしていた及川大尉を、同じ日本人憲兵である本間軍曹に告発させるように工作する彼の、暗躍する姿を感じさせる香り立ちです。
任務遂行後、日の当たらない路地裏に静かに消えてゆく姿もイメージできます。

全体を通して、彼が暗躍している姿を思わせるような、ダークかつスモーキーな香りとなっています。
彼の醸し出す掴みどころのない雰囲気が、終始辺りを漂うフレグランスです。