トップノートは、すっきりとしたリーフグリーンから始まります。そこにベルガモットのキラッとした香りが重なって、落ち着きがありながらも整った印象の香りとなっています。
誰に対しても礼節を持った振る舞いをするヨルの、凛とした雰囲気を思わせる香りです。
ただ、少し控えめな香り立ちでもあるため、ロイドに仕立て屋で出会った際、気付かれることなく背後に立つような、静かな空気感も感じられます。

ミドルノートになると、艶やかな深紅のバラの花を思わせるローズの香りが広がり始めます。それと同時に、ジャスミンやヒヤシンスといった花々のしっとりとした香りが漂います。
黒いドレスを身にまとう殺し屋の「いばら姫」を思わせる、しなやかな香りです。
とても華やかな印象はあるのですが、トップノートからの静けさは続いているため、「息の根止めさせて頂いてもよろしいでしょうか？」と告げるヨルの冷ややかな瞳が感じられるようです。

ですがラストノートになると、人肌のような温かみのあるムスクが漂い始めます。
利害の一致による偽装夫婦だとしても、少しでも良き母、良き妻であろうと奮闘する彼女が感じられるような香りです。手がボロボロになりながら頑張って料理を会得しようとする姿がイメージできます。

ヨルのフレグランスは、一輪のバラが咲いているかのような、清々しく綺麗な香りです。
時間が経つ毎に、ヨルの持つ本来の天然な性格が滲み出すようにふんわりとした雰囲気になっていくため、その変化もお楽しみください。