KOMIYA
【トップノート】
マリンノートのみずみずしい香りに、重厚なスパイスの香りが重なります。
清潔感はあるものの、キレのあるトガシの香りとは違いどんよりとした印象の香りで、現実から逃げるために走っていたところが感じられます。
一方でそのダウナーな雰囲気が、まるで背後から迫りくるような圧迫感をもたらします。
トガシとの出会いをきっかけに変化が始まっていく、その助走にも感じられる香りです。
【ミドルノート】
ベチバーやオリバナムの不透明な香りが重なることで、トップノート以上にじめっとした印象が際立ちます。
怪我の不安を振り切り、恐怖心を克服した小宮が、これまで以上に、そして他の誰よりも頭角を表していく姿が感じられる香りです。
ですが、湿り気のある香りは、まるで視界が塞がっていくかのような仄暗さももたらします。
注目の選手となるほど記録を伸ばしていたはずなのに、突如として走る意味や目的を見失ってしまった小宮の、その胸の内の虚しさを物語るかのようです。
【ラストノート】
サンダルウッドのほのかな甘みが少しずつ出てきます。
ミドルノートまでのダウナーで重苦しい雰囲気が徐々に晴れていき、香り立ちが軽やかになっていきます。
虚しさの解決策として、トガシから「100mを誰よりも速く走れば、全部解決する」というシンプルなルールを思い出させられた小宮。
そんな彼が、最後の決勝レースに挑む姿勢が思い浮かぶ香りです。
【全体的に】
小宮のフレグランスは、一定の清潔感がありながらも、どんよりとしたダウナーな雰囲気をもっているのが特徴です。
現実をぼやけさせたいという理由で走り始め、トガシとの出会いで100mの世界に足を踏み入れた小宮が、最後には研ぎ澄まされた勝負の世界で真剣になるために全力を尽くす。その姿を感じてみてください。
©魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会