Setsu Mu Shou

殺無生|「Thunderbolt Fantasy Project」フレグランス

【トップノート】
ヒソップやユーカリといった、ハーバル調の冷たい印象から始まります。
どこか風流さすら感じさせる静けさのある香りで、殤不患ショウフカンとの話し合いに応じたり、貸し切り代として宿に上乗せ分を支払ったりするような、気前の良さが伝わってきます。
しかしその中にも、ハーバル調ならではのツンとくるシャープさがあります。
口数が少なく仕草も洗練されていて、淡々と落ち着いた雰囲気をまといながらも、一目で只者ではないとわかる殺無生セツムショウの佇まいが思い浮かびます。
名前の所以でもある凄惨たる出生時の逸話の通り、死を呼び寄せるかのような底冷えする冷感が広がります。

【ミドルノート】
ローズやラベンダーの華やかな香りが出てきて、トップノートの静けさから一転、一気に鮮やかな香り立ちに変化します。
剣を極めた鐵笛仙テッキセンを師匠とするだけあり、鳴鳳決殺メイホウケッサツの二つ名で知られ、裏の世界では随一と言われるほどの剣術はもちろんのこと、またその剣の才を、気まぐれに人を殺すことに使うという冷酷さまでもが感じられる、硬さのある香りです。
またその芯のある苦味からは、一度は名を改め殺す剣からの更生を考えたものの、決して表の世界を生きることはなかった殺無生が、凛雪鴉リンセツアに対して抱く怒りや憎悪までもが伝わってきます。

【ラストノート】
オゾンノートやムスクの、かすみのような香りが出てきます。
ミドルノートの華やかで存在感ある香りから一変、儚いまでに清々しく淡い香りです。
殺しの術としているものの、剣を極めた者として強者に挑まずにはいられない殺無生の、高潔さが伝わってきます。
蔑天骸ベツテンガイと相見えた時、勝てないとわかっていながら挑みかかる潔さや、予想通りに敗北を喫し凛雪鴉への復讐の機会を逸したものの、まるで悔いなどないかのように息を引き取った彼の、どこか晴れやかな表情が思い浮かぶようです。

【全体的に】
殺無生のフレグランスは、近づけばただでは済まないと思わせる緊張感と、張り詰めた空気感の中に存在する一瞬の華が特徴です。
真剣に剣に向き合い、恐怖と共にその名を世に遺した彼の、剣に一途が故の強さや恐ろしさ、しかしそれを凌駕するほどの美しさを感じてみてください。